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Alexander Technique

アレクサンダー・
テクニークとは

「もっとうまくやろう」とするほど、
身体は固まっていく——。
その仕組みに気づき、
選び直していくための教育法です。

What It Is

自分の身体や思考の
「使い方」に気づくこと

アレクサンダー・テクニークは、自分の身体や思考の「使い方(習慣)」に気づき、無意識に生まれている過剰な緊張や反応を手放していくための方法です。

人は、何かをしようとするとき、知らず知らずのうちに特定の力み方やパターンを繰り返しています。それは姿勢や動きだけでなく、考え方や反応の仕方にも表れます。

アレクサンダー・テクニークでは、「どうすればうまくできるか」を身につけるのではなく、まず"やりすぎていることに気づく"ことを大切にします。そして、すぐに反応して動くのではなく、動く前の一瞬に選択肢を持てるようになることを目指します。

A Short History

100年以上前、
ひとりの俳優から始まった

アレクサンダー・テクニークは、19世紀末、オーストラリア出身の俳優フレデリック・マサイアス・アレクサンダーによって発見されました。舞台の上で声が枯れてしまうという問題を抱えた彼は、医師に原因を尋ねても答えが見つからず、自分自身を鏡で観察することで、セリフを言おうとする瞬間に無意識に首を締めつけ、頭を後ろに引き下げる癖があることに気づきます。

気づきから、方法へ

彼はその「癖」をやめようとするだけでは変わらないことに気づき、何年もかけて、頭と首と背中の関係——アレクサンダー自身は"プライマリーコントロール"と呼びました——を丁寧に観察していきました。この発見が、現在アレクサンダー・テクニークと呼ばれる方法の土台になっています。

以来100年以上にわたり、俳優・音楽家・ダンサーをはじめ、世界中の音楽大学や舞台芸術教育の現場で取り入れられてきました。

人の中には、本来自己調整力レジリエンスが備わっている。

何かを付け足すための努力をするのではなく、
本来持っている構造や動きの協調性を知ることで、
もっと楽に動ける、生きやすくなる。

In a Lesson

レッスンで行うこと

レッスンでは、ハンズオンという技術を用いて、頭・首・背中・腕などに軽く触れながら、その方が無意識に行っている身体の使い方を一緒に観察していきます。触れることで、言葉だけでは伝わりにくい「今、何が起きているか」を感じ取りやすくなります。ただし触れる前には必ず確認を行い、触れられたくない場合は触れずに進めることもできます。

日常の動き——立つ、座る、歩く——や、楽器の演奏そのものを教材にしながら、頭の先から動きを止めてしまう瞬間、力が入りすぎる瞬間を一緒に見つけていきます。「直す」のではなく、「気づく」ことから始まるのがアレクサンダー・テクニークの特徴です。

Fumika's Note

私自身がアレクサンダー・テクニークを学び始めた頃、こんな出来事がありました。私が通っていた学校はグループレッスン形式で、「何かやりたいことがある人?」と先生が尋ね、手を挙げた人がその場でアクティビティを行う、という進め方でした。

あるとき私は「ヴァイオリンを弾きます」と手を挙げました。けれど、いざみんなの前で弾くとなると、ものすごく緊張して、弾きたくない、怖い、弾きたくない、怖い——そんな気持ちでいっぱいになりました。それでも、アクティビティは始まりました。

弾いている間、先生はずっと私の頭にハンズオンし続けてくれていました。そして、ある瞬間——怖さでいっぱいだったはずの自分の中に、「弾きたい」という気持ちが急に戻ってきたのを感じたのです。頭で考えて緊張を抑えようとしたわけではありません。ただ、動きながら触れられ続ける中で、自分自身とふいに繋がった瞬間でした。

レッスンで起きるのは、こういうことです。緊張をなくす方法を教わるのではなく、緊張したままの自分の中に、実はもう「やりたい」という気持ちがあったことに、自分自身で気づいていく。

Common Misconceptions

よくある誤解

Q.マッサージや整体のようなものですか?

異なります。マッサージや整体は身体に施術を行うものですが、アレクサンダー・テクニークは、自分自身の身体の使い方に「気づく」ことを目的とした教育法です。ハンズオンは施術ではなく、気づきを助けるためのガイドです。

Q.宗教やスピリチュアルなものですか?

いいえ。特定の信仰や思想とは関係のない、身体の使い方に関する実践的な教育法です。世界中の音楽大学や演劇学校でも正式なカリキュラムとして採用されています。

Q.姿勢を良くするための体操やストレッチですか?

「良い姿勢」を型として身につけるものではありません。むしろ、「正しい姿勢を作ろう」とする力み自体が緊張の原因になることがあります。アレクサンダー・テクニークは、その力みに気づき、手放していくプロセスです。

Q.すぐに効果が実感できますか?

1回のレッスンでも、身体の感覚が変わる瞬間を経験する方は少なくありません。ただし、長年の習慣に気づき、選び直せるようになるまでには、継続的な実践が助けになります。

Why I Teach This

私がアレクサンダー・
テクニークを学んだ理由

私は、2歳からピアノ、6歳からヴァイオリンを始めました。

子どもの頃から音楽が大好きで、音楽を学び、演奏することは私にとって自然な楽しみでした。

ドイツのAkademie für Tonkunst Darmstadtを2006年に卒業し、帰国後、ヴァイオリニストとして演奏活動を始めました。

ところが、演奏活動を始めてから、私は「緊張」という大きな壁にぶつかりました。

どれだけ練習しても、本番になると怖くなる。
身体が震え、手が思うように動かない。
頭が真っ白になり、練習では弾けていたところが弾けなくなる。

「また弾けなくなったらどうしよう」

そう思うほど、身体は固まり、さらに弾けなくなっていきました。

自分を信じられなくなり、ヴァイオリンを辞めてしまおうかと何度も悩みました。

それでも、ヴァイオリンを弾かない自分には価値がないのではないか、とも思っていました。

今振り返ると、私は「演奏できる自分」と「自分自身の価値」を重ねてしまっていたのだと思います。

身体がわからなくなった、出産という転機

さらに出産を経験すると、身体がばらばらになったように感じ、それまでできていたことが思うようにできなくなりました。

もう一度弾けるようになりたくて、整体に通ったり、身体の使い方を学んだり、ヴァイオリンを基礎から見直したり。

いろいろ試しましたが、なかなかうまくいきませんでした。

藁にもすがる思いで

そんなとき、インターネットでアレクサンダー・テクニークの記事に出会いました。

そこに書かれていたことを、藁にもすがる思いで試してみたところ——

緊張せずに、とても楽しく、幸せな気持ちで演奏することができたのです。

「何が起きたんだろう?」

そこから約2年間、アレクサンダー・テクニークについてのメルマガなどを読みながら、興味を持ち続けました。

けれど、実際に学び始めるところまではなかなか踏み出せず、足踏みしていました。

そして2019年、Body Chanceで本格的に学び始めました。

「緊張していても動ける自分」へ

そこで私は、たくさんの驚くような体験をしました。

そして少しずつ、
「緊張してはいけない」のではなく、「緊張していても動ける自分でいる」
ということを学んでいきました。

自分の使い方が変わると、できることの選択肢が増えていく。

「これしかできない」から、「こちらも試してみよう」へ。

それは演奏だけでなく、自分自身との関係にもつながっていきました。

今はさらに、身体の傷つきやトラウマ、身体と心のつながりについても学びを深めています。

私自身が、身体が思うように動かないこと、緊張して演奏できないこと、そして「自分を変えなければ」と苦しんできたからこそ、
「自分には、まだ別の動き方がある」
ということを、一緒に探していきたいと思っています。

枝並 史佳

ヴァイオリニスト・アレクサンダー・テクニーク教師

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